メイド イン フランチェスカ!

第六話【愛という名のツッコミを!】

僕♂
●学○年生の少年。人気は薄いが一応本編の主人公。
富豪の家のご子息なのだが、何かと幸が薄い。
ツッコミかつ天然ボケで、やや自虐的で落ち込みやすい。
嫌いなものはカミナリ。

無限台 篤宗(むげんだい あつむね)♂
フランチェスカという源氏名で僕家に仕えるメイド。
筋骨隆々なその姿は、見る者を慄かせ圧倒するが、
心根は優しく一途で素直で裏表のない、とてもいいヤツ。
嫌いなものはカミナリ。

父♂
他とは一線を画して人気の高い僕の父。
一代で財産を築き上げた偉大な人だが、その仕事は不明。
口を開けば下ネタと馬鹿笑い、誰より息子を愛する親馬鹿である。
今回の台詞の量には要注意。
嫌いなものはネギ。

明土 朝与(あかつち さよ)♀
その微笑みは1メガワット!?僕家のメイドたちをまとめるメイド長。
その類稀なるおっとり屋の性格は、場に柔らかな空気を作りだす。
天然ボケかと思いきや、陰謀家らしき一面も?
嫌いなものはヘビ。

ナレ♂♀
解説係とカメラマン係を兼ねてこなすエキスパート。
その場に足りないと思われる成分をオールマイティに補ったりもする。
リズムに乗り喋り出したら、どこまでも限りなく止まらない。
嫌いなものは虫全般。


キャラクター設定資料


↓配役表↓/♂2 ♀1 不問2






父:諸君、私の名前を言ってみろォォオ!!
  そう、私こそは今、当作品中で最高の人気を博するスーパーマン!!
  父だ。
  ………………………………………………ぶふっ!
  ぬはっ、ぬひゃっ、ぬゎーっはっはっはっはっはっはっ!!
  ゲラゲラゲラゲラ!父だ!父だってそれ名前じゃなくね!?
  ギャハハハハ、ダヒャヒャヒャ、ニョホホホーナハハハハハハァー!!!
  と、まぁそれはさておき、前回までのあらすじだ。
  私の息子を見てくれ。こいつをどう思う?
  とても可愛いだろう!愛しいだろう!?
  この世の愛を一身に背負ったような美少年だろう!!?
  それは私の息子だから当たり前なのだが、最近何か気がかりな事があるらしい。
  私と違って、小さな事で悩みがちでいかんなぁ。
  ふふ〜ん、私には悩みなどない!
  たとえ息子に毎日シカトされようとも、翌朝の枕が寝汗で濡れるくらいだ!
  んナーッハッハッハッハッハッ!!
  おっと、息子の悩みの話だったかな。
  今夜の夕食はおそらく、昨夜 私が土産に持ち帰ったマグロのハズだ。
  美味なる食事で話も弾む!
  息子の悩みをうまく聞きだし、輝く答えを導けば、万事解決という寸法だ!
  Wow…Perfect (パーフェクト)!
  これはもう、チョー完璧と言わざるを得ないっ!!
  ひとつ気をつける事があるとすれば…息子とムスコを間違えないだけだな!!
  ヌァーッハッハ、ヌァーハ、ノゥァワーっハッハッハッハッh




篤宗:『メイド イン フランチェスカ! 第六話【愛という名のツッコミを!】』




- 僕の部屋 -


僕:いくらなんでもあんまりだよ…!そりゃ たしかに僕は?
  見た目はちょっと地味で、影が薄くて、個性もあまりなくて、運も悪くて、
  運動オンチで泣き虫で……う、なんかあらためて探すとホントに欠点だらけだ…けど!
  それでもクラスメイトに名前を覚えられてないうえに、
  ひとつ屋根の下で一緒に住んでる人にまでっ…!?
  アハッ…アハハハッ、悲しいのも通り越して笑っちゃうね。アハハ…ハハ…。


ナレ:枕に顔をうずめた。意気消沈。
   …かと思われた少年が再び顔をあげた。


僕:いや…やっぱり何か変だ。
  ここ何日かで特に、僕の名前が呼ばれるべきところで呼ばれてない。
  まるで、何者かに常に監視されて、邪魔されているかのように……まさかっ!


ナレ:少年は何者かの気配を察知して視線を廻らせた。
   この年代の妄想力豊かでちょっと寂しい少年がよくやることである。
   もちろん、誰も見当たらない。


僕:…誰か、そこにいるんでしょ…分かってるんだから。出て来いよっ!!


ナレ:ビシッとかっこよ〜く天井を指差したぁっ!!


朝与:あの…おぼっちゃん?

僕:うわっひぃ!?


ナレ:メイド長が開いた扉から顔を出していた。
   とても遠慮がちに。


僕M:み…見られたっ…!?

朝与:お、おぼっちゃん…お父様がお帰りになりました。
   10分後にご夕食のお時間でございます。

僕:あ、は、はいっ!ありがとうございます、すぐ行きます!

朝与:では…

僕:あ、ああっ、ちょっと待ってメイド長!

朝与:あ、はい?

僕:あの…ええと、さっきの…

【SE:キラキラキラキラ(輝く音)】

朝与:何も見てませんわ?

僕M:まだ何も言ってなぁぁあぁああぁぁあああい!!!


ナレ:満面の笑顔の前に、為す術なく崩れ落ちたぁぁああああっ!!


朝与:それでは、失礼いたします。


ナレ:K.O! Parfect Win(パーフェクト ウィン)!




- 食事の間 -




朝与:本日のメインディッシュは、炙りまぐろステーキですわ。
   先日ご主人様がお持ち帰りになった巨大なまぐろを切り分け、
   塩・胡椒で味付けの後 強火で焼き上げ、
   焼肉のたれとレモン汁をまぶしながらさらに表面を炙りました。
   大根おろしとワサビでお召し上がりください。
   本日はフランチェスカ君が捌き(さばき)を、
   ちぃこちゃんが味付けをそれぞれ務めて仕上げました。

篤宗:とてもイキの良い、素晴らしいマグロだった!
   味も極上、きっと舌を唸らせること、間違いない一品だ。


ナレ:夕食。
   この時間、夕食のメインディッシュを手がけたメイドたちは、
   メイド長とともに食事の間で、主たちのお世話をする。
   ここでいう 『お世話』 とは。
   たとえば皿を出したり、ナイフやフォークを用意したり、
   ワインを注(つ)いだり、主の首回りにナプキンをかけたり、
   主の曇った眼鏡を拭いたり、空調をととのえたり、
   需要があれば世間話をしたり、余興を用意したり、
   まぁとにかく、主たちの食の時間を快適にするためのお仕事である。
   篤宗(あつむね)が胸を張る隣で、地子の頭は眠たげに舟をこぐ。


父:嗚呼…この美しく萌ゆる紅!視覚にすら感じうる香ばしさ!!
  はたまた肉と肉汁がジューシィに奏でる盛大に壮大なハァーモニィー!!!
  …すンばらしい。
  一日の終わりを告げる食事としては十分にふさわしいオーケストラだともっ!
  そうは思わないか、息子よォォォオオオオオッ!?

僕:いただきます。

父:ブヴェアーッハッハッハッハッハッハッ!
  ヌヒッ、ヌヒフ、ヒヒフ、ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ…

僕:冷めるよ。

父:二つの意味でか!二つの意味でか!!ンヌァーッハッハッハッハッハッハッ!!!

僕:……。

篤宗M:兄者…今日はいつにも増して放置プ……否、元気がない。
    やはり、さっきの事を…。

父:ククク、クククク…フゥー。ところで息子よ、学校はどうだね。
  汗とナミダとド根性にあふれる中に、
  100人との友情と ほんの少しの甘酸っぱいメモリーを刻みつつ、
  今しか体感し得ない 楽しい時間を過ごしているかね。

僕:…うん、それなりに楽しいけど。

父:そうかそうか、親友との夫婦漫才に花咲かせたり、
  クラスメートの女の子の腹筋が6個に割れていたり、
  その子の妹の影が薄かったり、
  この私に想いを馳せるあまり妄想を繰り広げたりしているわけだな息子よ!!

僕:するか!


ナレ:してました。


父:なぁに、恥ずかしがることはないぞ息子よ。
  父さんがお前ぐらいの頃にも、同じようなことをしていたもんだ。

  嗚呼、懐かしき青春時代!
  黒板消しの粉を空に舞わせ、
  掃除の時間にホウキと雑巾でホッケーとか言って遊び、
  スカートの下の絶対領域に想いを馳せ、
  先生や友人に恥ずかしいあだ名をつけたあの日々よ!!

僕:…!

僕M:あだ名…。

父:…おや?おや?ツッコミはどうした息子よ?
  ほら、早く父に愛という名のツッコミを…んん!?
  いかん、いかんぞ息子よ!!
  息子が父に愛をツッコんだところで、そこに愛の結晶は生まれはしないっっ!!


ナレ:父赤面。


篤宗:父君、それは…

朝与:あらあらまぁまぁ…


ナレ:メイドたちも赤面。


僕M:あだ名…かぁ。

父:いやいや、こんなことで息子を拒んでいたのでは父親失格!
  今、私は試されているに違いない!
  良かろう息子よ、まずは今宵、ともにお風呂で読者へのサービスカットォ!
  …もとい、親子水入らずでバスタイムとしゃれ込むとしよう!!

僕:……。

父:…お?だが風呂に入ると言うのに、
  水入らずとはこれいか…に…ッヌァーッハッハッハッハッハッハッ!
  誰が、誰がうまいこと言えとギャハハハハハハブェハハウキャキャキャニョロホホホホ…

僕:うん、いいよ。入る。

篤宗:なっ!?

朝与:まぁ!!


ナレ:メイドたちに衝撃がはしる!!


父:ハーッハッハッ、そこまできっぱり断る冷たさもまた愛!
  今宵の枕は涙に濡れておるぞヴェアーッハッハッハッハッハッハッ!!…ハ?

僕:一緒に入ろ、お風呂。ごちそうさまでした。


ナレ:席を立ち、少年は一人 その場を後にした。
   時間に取り残されたかのように静まり返る食事の間。
   が、10秒後。


父:オウ…イッツ・ア・ミラクル……ハッ!?こうはしてられん!いただきます!!


【SE:パァンッ!(手を合わせる音)】

ナレ:時は急速に動き出す!
   てゆか、まだ食べ始めてなかったんか…!


篤宗:…兄者…。

朝与:…どうしたの、フランチェスカ君?またケンカでもしたのかしら?


ナレ:凄まじいスピードで減ってゆくマグロをよそに、
   メイド長は隣の巨体を覗き込み、首を傾げた。


篤宗:ぬ?あ、ああ メイド長…

朝与:何か、あったの?

篤宗:まぁ…ヌゥ、アレはケンカと言うのか…

朝与:あらあら…ふふ、おぼっちゃんが元気がないはずだわ。

篤宗:俺は…どうしたら良いのだろう、メイド長…。


ナレ:うなだれる弱気な男の頭に、メイド長はそっと手を乗せる。
   余りある優しさの輝く笑顔とともに。


朝与:う〜ん、そうね…ただのケンカなら、時間が解決してくれるわ。
   でも、彼の本音を聞きたいなら…

篤宗:き、聞きたいなら…? 【SE:ゴクリ…(生ツバを呑む音)】

朝与:…おぼっちゃん、ご主人様と一緒にお風呂だなんて、どうしたんでしょうね?
   何か本音で相談したいことでもあったのかしら。

篤宗:ハッ…!?め、メイド長…!


ナレ:小学生にでも分かる裏バレバレの言葉に、
   筋肉メイドはヌバッと顔を上げる。


朝与:うふふ…今日のお片付けは私がしておくわね。

篤宗:か…かたじけない!この礼は必ず!!

朝与:いってらっしゃいな♪

篤宗:うぬっ!!!

父:ングッ、ングッ、ングッ…ぷはへぇいっ!
  ごちそうさま、待ってろ息子よ今行くぞォオッ!!!

朝与:いってらっしゃいませ♪

父:息子ォォオオオッ!!

篤宗:兄者ァァアアアッ!!


- 脱衣所 -


僕:な、なんか寒気が…


ナレ:かくして!
   サービスシーンの始まり始まりィィイイイイイ!!
   ……は、また次回だぁっ!



- 次回予告 -


朝与:さて、お片付けを始めましょうか…あら?
   ふふ…こんな所で寝ちゃって。風邪ひいちゃうわよ、ちぃこちゃん?
   …仲直りできたらいいわね、フランチェスカ君。
   次回、『メイド イン フランチェスカ!第七話【恐れ多くて許されぬ!】』
   また今夜、お会いしましょ♪









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