サヴァンナの詩

『金』




四から二へと育つ頃
不安定な地平に立っていた
いつか三へと萎えるまで
不鮮明な笑みを作っていく

「それでいいのかい?」
足元の猫が訊く
「それでいいのさ」
僕はノートを開く

溢れる非日常はすべて
ディスプレーの向こう側にあった
迫り来る行進の朝に怯え
テレビの電源を切った

「それでいいのかい?」
足元の兎が訊く
「それでいいのかな」
僕はノートを閉じる

初めて空を見上げると
太陽と月が
とんでもないスピードで
ぐるぐる回り始めた

ああ
僕が幸せになるのに使える時間は
思ったより少ないようだ

「それでいいのかい?」
足元の蛇が訊く
「いいわけがない」
僕はノートを破り捨てた

「それでいいのかい?」
足元の鳥が訊く
「それでいい」



「それでいいんだ」



ああ
僕が幸せになるのに使える時間は
思ったより少ないようだ

だけど俯き続けた無色の時間よりは
たくさんあるようだ

さぁ 出かけようか
ディスプレーの向こう側へ

僕の本当の人生へ




あとがき

お金は大事ですか?はい、大事です。
でも本当に大事ですか?本当に大事なものは何ですか?

願わくば、サヴァンナ。
あなたの旅路が幸せで溢れますように。



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