師匠と弟子の早口な日常3



弟子(不問)
師匠(不問)



<あらすじ>

あなたたちは味醂屋亭一門の師弟です。
あなたたちが今日やる演目は、あなたたちが作ったお話「師匠と弟子の早口な日常」。
師弟の奇妙な思い出を振り返ったお話です。

さぁそろそろ時間という時に、
突然あなたたちの楽屋に魔女が訪れ、呪いをかけてきました!

「お前たちが言葉をつっかえたり噛んだりしたら、時間が巻き戻る呪いをかけたよ!」
「「なぜそんなことを!?」」
「おもしろいからさ!」

魔女は消えてしまいました。

自分たちで作ったとは言え、本番で演るのは初めて。
あなたたちは無事に演目を終えることができるのでしょうか。





↓ここから本編です↓




弟子:皆様、本日はお足元の悪い中、または良い中、あるいは回線の良し悪しの中、
   お越しくださりありがとうございます。

師匠:どうも、誠にありがとうございます。

弟子:本日、皆様にお聴き頂きますのは、私、味醂屋亭××(あなたの名前)と

師匠:私、味醂屋亭△△(あなたの名前)の日常の小噺でございます。

弟子:奇妙に舌の回る思い出を全七編、持って参りました。
   楽しんで頂ければ幸いでございます。

師匠:さて、始める前に、ひとつ前置きがございまして。
   先ほど楽屋で師弟なかよく語らっておりますと、
   とつぜん魔女と名乗る者が現れて、我々に呪いをかけたのであります。

弟子:ええ、言葉をつっかえたり噛んだりしたら、時間が巻き戻るとかなんとか言っておりましたね。

師匠:何が楽しくてそんなことをしたのか、
   私どもには皆目(かいもく)見当もつきませんが、まぁとにかくそういうわけで、
   もし私たちが言葉をつっかえたり噛んだり致しますと、時間が巻き戻り、
   噛んでしまった日常の最初からやり直しとなってしまうのだそうでございます。

   私△△師匠も、こちらの弟子××も、まかりなりにも、
   こうして噺家(はなしか)なんぞをやっておりますので、
   そんなことは絶対に起こりませんと申し上げたいところではあるのですが、
   『先ほどからこの噺家、同じ言葉ばかり繰り返しておるな』と思いましても、
   生暖かい目で見守って頂ければと思います。

弟子:まぁ師匠は師匠ですので、大丈夫かと思いますけれども。

師匠:おやめなさい。黙りなさい。お前はもう少し師匠を労りなさい。

弟子:(食い気味に)それではこれより『師匠と弟子の早口な日常』七篇をお届け致します。
   師匠と私の日常をご想像しながら、ご清聴いただければ幸いでございます。それでは参ります。

師匠:よろしくお願い致します。



弟子:師匠と弟子の早口な日常『生布(なまぬの)』

師匠:モモフモ!モモフモ!

弟子:△△師匠、それ何のモノマネですか?

師匠:ママフモモモモマメ

弟子:師匠、すみません!分かりません!

師匠:あっ、ごめんごめん、生布ね!生布のモノマネね!

弟子:あ、生布ですか!生布の真似が得意なんですか?

師匠:そう、生布!生布の真似が得意なのよ!

弟子:もう一回やってみてくださいよ!

師匠:モモフモ!モモフモ!

弟子:アレ?何か師匠、訛ってますね。

弟子:何、生布の物真似にのみ訛り? (なに、なまぬのの ものまねにのみ なまり?)
師匠:何、生布の物真似にのみ訛り? (なに、なまぬのの ものまねにのみ なまり?)

弟子:なぬ、生布の物真似にのみ訛り?(なぬ、なまぬのの ものまねにのみ なまり?)
師匠:なぬ、生布の物真似にのみ訛り?(なぬ、なまぬのの ものまねにのみ なまり?)

弟子:何、生布の物真似にのみ訛り? (なに、なまぬのの ものまねにのみ なまり?)
師匠:何、生布の物真似にのみ訛り? (なに、なまぬのの ものまねにのみ なまり?)



弟子:師匠と弟子の早口な日常『紫蘇(しそ)』

師匠:紫蘇うめぇ!あぁ、紫蘇がうめぇ!うめぇな、紫蘇がうめぇ!

弟子:△△師匠、紫蘇好きですよね!

師匠:紫蘇好きだねぇ。スーパーで『いかがですか〜』ってやってたら即試食しちゃうね。

弟子:紫蘇って粗食(そしょく)だと思うんですが、ホント師匠、紫蘇の試食好きですよね!

師匠:紫蘇を粗食扱いするのはやめるのだ弟子××よ!

弟子:紫蘇試食せし師匠! (しそししょくせしししょう)
師匠:紫蘇試食せし師匠! (しそししょくせしししょう)

弟子:紫蘇試食せし師匠! (しそししょくせしししょう)
師匠:紫蘇試食せし師匠! (しそししょくせしししょう)

弟子:紫蘇試食せし粗食家師匠!(しそししょくせしそしょくかししょう)
師匠:紫蘇試食せし粗食家師匠!(しそししょくせしそしょくかししょう)



弟子:師匠と弟子の早口な日常『宿直(しゅくちょく)』

師匠:はぁ疲れた疲れた、もう歳だな。

弟子:△△師匠、初めての宿直どうでした?

師匠:おぉ弟子××、聞いてくれるか。宿直室に接触して粗相(そそう)しちまったのよ。

弟子:えぇ!?宿直室に接触して粗相(そそう)したんですか△△師匠!?

師匠:そうそう、宿直室に接触して粗相(そそう)しちまったんだよ弟子××!

弟子:早速宿舎接触粗相!(さっそく しゅくしゃ せっしょく そそう)
師匠:早速宿舎接触粗相!(さっそく しゅくしゃ せっしょく そそう)

弟子:早速宿舎接触粗相!(さっそく しゅくしゃ せっしょく そそう)
師匠:早速宿舎接触粗相!(さっそく しゅくしゃ せっしょく そそう)

弟子:宿直初日、早速宿舎接触粗相せし師匠!
   (しゅくちょくしょにち、さっそくしゅくしゃせっしょく そそうせし ししょう)

師匠:宿直初日、早速宿舎接触粗相せし師匠!
   (しゅくちょくしょにち、さっそくしゅくしゃせっしょく そそうせし ししょう)



弟子:師匠と弟子の早口な日常『桃』

師匠:おっと、弟子から電話だ。ちょっと失礼、すみません、失礼して…ハイハイ、もしもし?

弟子:△△師匠、何か買って帰るものありますか?

師匠:おぉ、気が利くねぇ。ちょうど良かった、じゃあ桃と豆とメモを買ってきておくれ。

弟子:えぇ!?桃と豆とメモですか?

師匠:あと小さいサイズのも頼むよ。

弟子:小さいサイズのもですか!?

師匠:すまんね、気難しい客人が来てるんだ。桃も豆もメモもミニ桃もミニ豆もミニメモも必要だから頼むね。

弟子:さっきの通りでいっぱい売ってましたけど通り過ぎちゃいましたよ!

師匠:桃も豆もメモもミニ桃もミニ豆もミニメモも忘れずに買ってきておくれ、頼んだよ弟子××。

弟子:桃も豆もメモも、ミニ桃もミニ豆もミニメモも、間に間に目に耳に見聞き!
   (ももも まめも めもも みにももも みにまめも みにめもも まにまに めに みみに みきき)

師匠:桃も豆もメモも、ミニ桃もミニ豆もミニメモも、間に間に目に耳に見聞き!
   (ももも まめも めもも みにももも みにまめも みにめもも まにまに めに みみに みきき)

弟子:桃も豆もメモも、ミニ桃もミニ豆もミニメモも、間に間に目に耳に見聞き!
   (ももも まめも めもも みにももも みにまめも みにめもも まにまに めに みみに みきき)

師匠:桃も豆もメモも、ミニ桃もミニ豆もミニメモも、間に間に目に耳に見聞き!
   (ももも まめも めもも みにももも みにまめも みにめもも まにまに めに みみに みきき)



弟子:師匠と弟子の早口な日常『過去』

師匠:おぅ、どうしたんだい弟子××、景気良さげな顔して。宝くじでも当たったかい。10割よこしなさい。

弟子:△△師匠の過去のカキコ見ましたよ!

師匠:あのねぇ、お前さんはまたそういう…アリの巣ほじくるガキンチョじゃないんだからよ。

弟子:へへへ、結構過酷なことばかり言う危険な子だったんですね!

師匠:過去はね!結構過酷なことばかり言う危険な子だったんですよ!過去はね!

弟子:過去カキコ結構過酷!(かこ かきこ けっこう かこく)
師匠:過去カキコ結構過酷!(かこ かきこ けっこう かこく)

弟子:過去カキコ結構過酷!(かこ かきこ けっこう かこく)
師匠:過去カキコ結構過酷!(かこ かきこ けっこう かこく)

弟子:過去のこのカキコ結構過酷、危険な子!
   (かこの このかきこ けっこうかこく きけんなこ)

師匠:過去のこのカキコ結構過酷、危険な子!
   (かこの このかきこ けっこうかこく きけんなこ)



弟子:師匠と弟子の早口な日常『モミの木』

師匠:おお、おかえり弟子××。ほれ、こたつにお入りよ。

弟子:△△師匠、こないだクリスマスツリー用に植えた木に、実が成ってましたよ!

師匠:おや、そうかい。この寒いのにすごいもんだね。

弟子:他の木は世話してないから全然実を付けないのに、タフな木ですね!

師匠:ウチの庭は荒れっぱなしだからねぇ。手が掛からないのはありがたいね。

弟子:あれ?ところであの木ってなんて種類でしたっけ?

師匠:ああ、モミの木?

弟子:…あ、そうそう、それです!さすが師匠!!

師匠:モミの木ってモミモミしたくなるよね。

弟子:モミモミ!モミモミ!

師匠:モミモミ!モミモミ!

弟子:モミの木にのみ モミの実!
師匠:モミの木にのみ モミの実!

弟子:モミの木にのみ モミの実!
師匠:モミの木にのみ モミの実!

弟子:モミの実!モミの実!モミの実!
師匠:モミの実!モミの実!モミの実!



弟子:師匠と弟子の早口な日常『七』

師匠:おぅ、弟子××。いま帰りかい。

弟子:△△師匠、何か買って帰るものありますか?

師匠:ああ、そうかい?じゃあねぇ、生麦と生米と生卵、ぜんぶ七つずつ買ってきておくれ。

弟子:えぇ!?七本の生麦と七キロの生米と七個の生卵ですか!?

師匠:そう!七本の生麦と七キロの生米と七個の生卵!

弟子:別にいいですけど、生卵って七個でどうやって買うんですか?

師匠:バラ売りで買って生布に入れたらいける!

弟子:あ、バラ売りで買って生布に入れるんですね!分かりました!

師匠:生布けっこう伸びるからいけると思う!大変だと思うけど頑張っておくれね!

弟子:七生麦 七生米 七生卵!(なななまむぎ なななまごめ なななまたまご)
師匠:七生麦 七生米 七生卵!(なななまむぎ なななまごめ なななまたまご)

弟子:七生麦 七生米 七生卵!(なななまむぎ なななまごめ なななまたまご)
師匠:七生麦 七生米 七生卵!(なななまむぎ なななまごめ なななまたまご)

弟子:七生麦 七生米 生布に七生卵!(なななまむぎ なななまごめ なまぬのになななまたまご)
師匠:七生麦 七生米 生布に七生卵!(なななまむぎ なななまごめ なまぬのになななまたまご)



弟子:以上七篇にて『師匠と弟子の早口な日常』終幕と相成ります。

師匠:楽しんで頂けたなら、これ幸いでございます。

弟子:皆様、最後までご清聴頂き、ありがとうございました。お別れのご挨拶をさせて頂きます。せーの!

二人:モミの実!モミの実!モミの実!














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