師匠と弟子の早口な日常



あなた(不問)



<あらすじ>

あなたは味醂屋亭一門の弟子です。
あなたが今日やる演目は、あなたが作ったお話「師匠と弟子の早口な日常」。
みりこ師匠との奇妙な思い出を振り返ったお話です。

さぁそろそろ時間という時に、
突然あなたの楽屋に魔女が訪れ、呪いをかけてきました!

「お前が言葉をつっかえたり噛んだりしたら、時間が巻き戻る呪いをかけたよ!」
「なぜそんなことを!?」
「おもしろいからさ!」

魔女は消えてしまいました。

自分で作ったとは言え、本番で演るのは初めて。
あなたは無事に演目を終えることができるのでしょうか。





↓ここから本編です↓




あなた:
  皆様、本日はお足元の悪い中、または良い中、あるいは回線の良し悪しの中、
  味醂屋亭××(あなたの名前)の小噺(こばなし)を聴きに来て頂き、
  誠にありがとうございます。

  本日、皆様にお聞かせいたしますのは、私と師匠の日常のお話でございます。
  奇妙に舌の回る思い出を全七編、持って参りました。
  楽しんで頂ければ幸いでございます。


あなた:
  さて、始める前に、ひとつだけ。
  私事(わたくしごと)ではございますが、私いまだに未熟の身でございます。
  そして私がもし言葉をつっかえたり噛んだりしますと、
  この場にはたらく不思議な力によって時間が巻き戻り、
  噛んでしまった日常の最初からやり直しとなってしまうのだそうです。

  まぁ私も、まかりなりにも、
  こうして噺家(はなしか)なんぞをやっておりますので、
  そんなことは絶対に起こりませんと申し上げたいところではあるのですが、
  『先ほどからこの噺家、同じ言葉ばかり繰り返しておるな』と思いましても、
  生暖かい目で見守って頂ければと思います。


あなた:
  それではこれより『師匠と弟子の早口な日常』7篇をお届け致します。
  師匠と私の日常をご想像しながら、ご清聴いただければ幸いでございます。
  それでは参ります。



あなた:
  師匠と弟子の早口な日常『生布(なまぬの)』

  師匠、それ何のモノマネですか?
  あ、生布ですか!生布の真似が得意なんですか?やってみてくださいよ!
  アレ?何か師匠、訛ってますね。

  何、生布の物真似にのみ訛り?
  なぬ、生布の物真似にのみ訛り?
  何、生布の物真似にのみ訛り?
  
  (なに、なまぬのの ものまねにのみ なまり?)
  (なぬ、なまぬのの ものまねにのみ なまり?)
  (なに、なまぬのの ものまねにのみ なまり?)



あなた:
  師匠と弟子の早口な日常『紫蘇(しそ)』

  師匠、紫蘇好きですよね!
  紫蘇って粗食(そしょく)だと思うんですが、
  ホント師匠、紫蘇の試食好きですよね!

  紫蘇試食せし師匠!
  紫蘇試食せし師匠!
  紫蘇試食せし粗食家師匠!
  
  (しそししょくせしししょう×2)
  (しそししょくせしそしょくかししょう)



あなた:
  師匠と弟子の早口な日常『宿直(しゅくちょく)』

  師匠、初めての宿直どうでした?
  えぇ!?宿直室に接触して粗相(そそう)したんですか師匠!?

  早速宿舎接触粗相!
  早速宿舎接触粗相!
  宿直初日、早速宿舎接触粗相せし師匠!
  
  (さっそく しゅくしゃ せっしょく そそう×2)
  (しゅくちょくしょにち、
   さっそくしゅくしゃせっしょく そそうせし ししょう)



あなた:
  師匠と弟子の早口な日常『桃』
  
  師匠、何か買って帰るものありますか?
  えぇ!?桃と豆とメモですか?小さいサイズのもですか!?
  さっきの通りでいっぱい売ってましたけど通り過ぎちゃいましたよ!
  
  桃も豆もメモも、ミニ桃もミニ豆もミニメモも、間に間に目に耳に見聞き!
  桃も豆もメモも、ミニ桃もミニ豆もミニメモも、間に間に目に耳に見聞き!
  
  (ももも まめも めもも みにももも みにまめも みにめもも
   まにまに めに みみに みきき×2)



あなた:
  師匠と弟子の早口な日常『過去』
  
  師匠の過去のカキコ見ましたよ!
  結構過酷なことばかり言う危険な子だったんですね!
  
  過去カキコ結構過酷!
  過去カキコ結構過酷!
  過去のこのカキコ結構過酷、危険な子!
  
  (かこ かきこ けっこう かこく×2)
  (かこの このかきこ けっこうかこく きけんなこ)
  


あなた:
  師匠と弟子の早口な日常『モミの木』
  
  師匠、こないだクリスマスツリー用に植えた木に、実が成ってましたよ!
  他の木は世話してないから全然実を付けないのに、タフな木ですね!
  あれ?ところであの木ってなんて種類でしたっけ?
  …あ、そうそう、それです!さすが師匠!!
  
  モミの木にのみ モミの実!
  モミの木にのみ モミの実!
  モミの実!モミの実!モミの実!
  


あなた:
  師匠と弟子の早口な日常『七』
  
  師匠、何か買って帰るものありますか?
  えぇ!?7本の生麦と7kgの生米と7個の生卵ですか!?
  別にいいですけど、生卵って7個でどうやって買うんですか?
  あ、バラ売りで買って生布に入れるんですね!分かりました!
  
  七生麦 七生米 七生卵!
  七生麦 七生米 七生卵!
  七生麦 七生米 生布に七生卵!
  
  (なななまむぎ なななまごめ なななまたまご×2)
  (なななまむぎ なななまごめ なまぬのになななまたまご)



あなた:
  以上7篇にて『師匠と弟子の早口な日常』終幕と相成ります。
  
  私、味醂屋亭××の師匠、味醂屋亭みりこは生布の物真似が得意だったり、
  紫蘇試食したり、宿直室で粗相したり、過酷な過去を持っていたり、
  桃と豆とメモや七生麦・七生米・七生卵を買ってこさせたり、
  モミの木のモミの実モミモミしたりと、一見して変人ではございますが、
  よく知れば知るほど変人でございますので、
  もしどこかで遭遇の折にはお気をつけくださいませ。

あなた:
  それでは皆様、最後までご清聴頂き、ありがとうございました。
  お別れのご挨拶をさせて頂きます。モミの実!モミの実!モミの実!














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